弘前公園に住んでいる白鳥

ココは弘前公園に40年近く住んでいたコブ白鳥です。桜ちゃん、シロちゃん、ガー子、コブちゃん、スーちゃん、隊長などたくさんの名前を持っていました。このブログにココの最後の約半年間(2019年8月2日~2020年1月5日)の毎日の様子を記録しました。ココが旅立った後、ココの思い出とともに公園に今生きているものたちについて記録していきます。

ココへ

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2019年11月4日15:44 紅葉祭りの最終日。「舟が出るぞ~」のかけ声で観光舟が出て行ったけど、ココは全く気にしない。カルガモたちとの時間をゆったり過ごしている。

ココ、今頃どこを飛んでいますか?

あなたが亡くなってから、新聞やインターネットのニュースで、あなたが弘前公園で生まれたこと、推定40歳であること、飛べなくされていることがようやく明らかにされました。

多くの人に広まっていた、「傷付いて飛べなくなっているところを公園の人が助けた」というのは嘘であることがはっきりしました。私があなただったら、この嘘に怒りまくっていたと思います。しかし、あなたはそんなことには関係なく、自分の毎日をただ一生懸命生きたのでしょう。

弘前市の観光課が中濠を観光のターゲットにしたため、あなたの最後の3年間は厳しいものになりましたね。あなたが住んでいる中濠で観光舟を運航したり、菊人形舟を浮かべたり、過剰なライトアップをしたり・・・。

あなたは、中濠に侵入してきた観光舟を攻撃しました。そのために、祭り期間中、安全を確保するという名目で、檻に入れられたり、環境の悪い北側の濠に移されたりしました。2019年のねぷた祭りから、現場であなたと直接向き合っている公園管理者や観光舟の担当者や船頭さんたちの努力で、「あなたと観光舟との共存」の道が開かれました。そして、ねぷた祭りと紅葉祭りの期間中、あなたは耐え、観光舟を攻撃することもなく、共存できることを証明しました。

しかし、机に向かってこの観光イベントを計画した人たち、そして、このイベントを支持した弘前市の市長が、あなたのために心を痛めたのでしょうか?2017年の桜祭りのときに開始した観光舟運航を、好評であると評価し、紅葉祭り、ねぷた祭りでの運航へと年々拡大させました。さらに、2019年の紅葉祭りでは、あなたと現場の人たちが共存のために歩み寄ろうとしているときに、観光課の課長は「今年は中堀のライトを増やし、より幻想的な演出になっている」と語っています(東奥日報 2019年10月18日朝刊)。これらを考えると、観光課の人たちと市長は、あなたの存在を無視し、不条理なイベントを推し進めたと判断するしかありません。

あなたの死を知らせる東奥日報の記事(2020年1月10日朝刊)は、観光舟に攻撃するあなたの写真に「弘前さくらまつりで遊覧船の後を追い、愛嬌(あいきょう)のある一面を見せていた」とコメントを付けています。いい加減なものですね。新聞記者は観光舟運航のために、あなたが住み慣れた場所から追い出されたことを知らなかったのでしょうか?市民も声を上げていましたが、気付かなかったのでしょうか?郷土の新聞はそこに住むものたちに寄り添うことを忘れていたのでしょうか?

ココ、今どこを飛んでいますか?弘前にはあなたに会いたいと思っている人間や動物たちが暮らしています。ときどき弘前に戻ってきてください。そして、これからの観光イベントがそこに生きているものたちに配慮したものになるよう導いてください。