弘前公園に住んでいる白鳥

ココは弘前公園に40年近く住んでいたコブ白鳥です。桜ちゃん、シロちゃん、ガー子、コブちゃん、スーちゃん、隊長などたくさんの名前を持っていました。このブログにココの最後の約半年間(2019年8月2日~2020年1月5日)の毎日の様子を記録しました。ココが旅立った後、ココの思い出とともに公園に今生きているものたちについて記録していきます。

ココ

ココは弘前公園に40年以上も住んでいたコブハクチョウである。ココはたくさんの名前を持っていた。私が知っているだけでも、桜ちゃん、シロちゃん、ガー子、コブちゃん、スーちゃん、隊長などがある。この白鳥の生涯にわたって寄り添っていたと思われる、公園の餌係のおじさんは「ココ~、ココ~」と呼んでいた。それで、私もココと呼ぶことにした。

観光協会が桜祭り期間に中濠観光舟の運航を始めた途端、ココは邪魔者のように扱われた。ココが自分の領域に侵入した観光舟を威嚇するからである。最初の年は弥生の檻、2年目は植物園の檻に閉じ込められた。3年目の2019年の桜祭りでは、いつも住んでいる石橋の南側(観光舟が運航される濠)から北側に移された。

移動先の丑寅櫓付近でくつろぐココ(2019年4月28日午後)

Sさんの背中とココ(2019年5月3日午後)

ココは公園のアイドル的存在で、いろんな人がパンやキャベツをもってきた。ココは人々の思いをしっかり受け止め、お腹が破裂するのではないかと心配になるほど食べていた。ココの食べっぷりは実に見事だった。私を含め、多くの人が中濠のココの姿から元気をもらっていたと思う。だから、ココが観光舟のために檻に閉じ込められたことに心を痛めていた人は少なくない。

Sさんは、ココを守りたい人たちと観光協会の間に立って、祭り期間中のココの生活環境の改善に努めてくれた公園の管理事務所の方である。私たち夫婦のしつこい訴えにも耳を傾けてくれた。檻に閉じ込められる状態から石橋の北側に移されたのは大きな一歩。

桜祭りが終わって南側に戻された(2019年6月19日午後)

南側は北側よりも広々としている(2019年6月28日朝)

オシドリと一緒(2019年7月9日朝)

カルガモと一緒(2019年7月29日朝)

南側は休む場所もあちこちにある。やはり、北側より過ごしやすいよね。

観光舟とココ(2019年8月5日朝)

ねぷた祭り期間中の観光舟運航ではココとの共存が試された。ココはどこにも移されることはなかった。

ゆったり羽根づくろい(2019年8月6日午後)

餌も食べている(2019年8月6日午後)

舟頭さんたちもココを刺激しないよう気遣ってくれたおかげで、ココは観光舟に怯えることなく安心しているようだった。

ふ~、よく耐えたね(2019年8月11日午後)

ココは観光舟と共存できることを証明した(2019年8月27日午後)

9月のココの暮らしは穏やかそうだった。

カルガモと一緒に朝日を浴びたり(2019年9月7日朝)

首を伸ばしたり・・(2019年9月7日午後)

岸に上がって羽根を広げたり・・(2019年9月11日朝)

カルガモと一緒に餌を食べたり・・(2019年9月15日朝)

カイツブリとすれ違ったり・・(2019年9月19日朝)

御簾の陰で羽根を広げたり(2019年9月20日朝)

カルガモと一緒に羽根づくろいしたり・・(2019年9月25日朝)

橋のたもとで過ごしたり・・(2019年9月30日朝)

お花と一緒だったり・・(2019年9月30日午後)

10月も穏やか(2019年10月5日午後)

カルガモさん、ココの側は安心ですか(2019年10月10日朝)

中濠に菊人形舟と多くのライトが出現(2019年10月14日午後)

葉が色づき始めた頃、大げさな紅葉祭りの準備が進められていた。舟を固定するワイヤーにココが引っかからないか、たくさんのライトはココの睡眠を妨げないか、心配が募った。

またカイツブリとすれ違う(2019年10月15日朝)

中濠はだんだん騒々しくなっても、ココは平気なように見えた。

菊人形舟の存在も問題なさそう(2019年10月29日朝)

「舟が出るぞ~」の合図にも驚かない(2019年11月4日午後)

ゆとりなのかな?(2019年11月9日午後)

祭り最終日(2019年11月10日午後)

ココは祭り期間中毎日、菊人形舟を固定するワイヤーを通過して、この餌場にやってきた。観光協会は、中濠を菊人形舟、観光舟、数多くのライトによってけばけばしく飾り付けた。人はより自然な姿に感動するものだと思うけど・・。何はともあれ、ココ、無事に過ごしてくれて本当にありがとう。

 

晩秋の紅葉はココの美しさを浮き彫りにした。

(2019年11月14日午後)

(2019年11月16日朝)

(2019年11月21日朝)

(2019年11月21日午後)

(2019年11月25日朝)

(2019年11月25日朝)

(2019年11月27日朝)

(2019年11月29日午後)

(2019年12月2日午後)

ココ、すごく色っぽいよ。

 

この年の冬は、暖かい日と寒い日が気まぐれにやってきて、ココを翻弄した。

いきなり氷が張ったと思うと・・(2019年12月6日朝)

2日後にはすっかり溶けたり・・(2019年12月8日午後)

水流の変動のせいか、北側に落ちたり・・(2019年12月18日朝)

数年前から、ココの脚は相当に弱っているようだった。石橋の南側より一段低い北側の濠に落ちたのも弱った脚が水流に逆らえなかったせいかもしれない。水面は移動できていたが、氷の上を歩くことができず、移動するときは長い首を左右に動かして体全体で進んでいた。そのため、陽気に誘われて餌場から遠出していたココが氷に閉じ込められることが何度もあった。

どうしたら助けられるのか・・(2019年12月21日午後)

困っているココを助けることができない。もどかしい。

餌場に向かっている(2019年12月24日朝)

でも、天候が味方してくれたこともあって、ココは餌場に戻れた。

もう、あまり遠くに行かないでね(2019年12月25日午後)

前日から氷の上にいる(2019年12月30日朝)

管理事務所は既に年末年始の休みに入っている。私たちは、公園にとって迷惑行為であることを知りつつ、ココが餌場に戻れるよう願いながら、岸辺の氷を割って道を作った。

しかし、あともう少しというとき、ココはさらに遠く行ってしまった。ココを怖がらせてしまったことが、悲しくて悲しくて・・・

ココは逞しい(2019年12月30日午後)

午後、ココは餌場に戻っていた。午前中は悲しみでいっぱいだった私にとって、この光景は奇跡としか思えなかった。氷を割って作った岸辺の道を使ってくれたのだろうか?そうでありますように。

どうしてそこにいるの?(2020年1月4日朝)

1月に入ってココはほとんどの時間を餌場付近の氷の上で過ごしていた。衰弱しているようで、心配でならなかった。この朝は石橋から少し移動していた。氷から逃れる場所を探していたのかもしれない。

一生懸命に戻ってきたんだね(2020年1月4日昼)

氷上に、長い首を左右に揺らしながら戻ってきた跡が残っている。

食欲があるからきっと大丈夫(2020年1月4日昼)

もう少し頑張れると思ったけれど、翌朝(2019年1月5日)、いつも休憩していた餌場から離れた岸の上でココは亡くなっていた。白いぬいぐるみのようなものがふわっと置かれているようにみえた。どうやってそこにたどり着けたのだろう?いろいろ謎が残る。でも、冷たい氷の上ではなく、落ち葉の布団の上だったことがありがたかった。そうっとしておこうと思った。

 

ココ、あなたが亡くなって3回目の冬です。

あなたの40年以上にもわたる生涯に寄り添った、ココの名付け親と思われる、公園の餌係の方、餌場付近の氷を割ってあなたが過ごせる場所を確保してくれた係の方、あなたが石橋の北側に落ちたときにあなたを助けて、二度と落ちないように柵を作ってくれた係の方、そして長年にわたりパンやキャベツを持ってきていた市民の方たち、その他、あなたと出会ったたくさんの人たちにとって、あなたは大切な存在だったと思います。あなたの側にいたカルガモやオシドリ、あなたとすれ違ったカイツブリも、あなたが中濠にいてくれることで安心していたに違いありません。

ココ、弘前公園に住んでくれてありがとう。精一杯に生きてくれてありがとう。そして、たくさん食べてくれて本当にありがとう。

 

私は、過激化していく観光イベントからココを少しでも守りたいと思ってこのブログを始めました。しかし、近頃はなかなか更新できなくなったため、これで一旦終わりにすることにします。いつかまた別の形で再開できればと思っています。

これまで訪れてくださった方々に心から感謝いたします。