弘前公園に住んでいる白鳥

ココは弘前公園に40年近く住んでいたコブ白鳥です。桜ちゃん、シロちゃん、ガー子、コブちゃん、スーちゃん、隊長などたくさんの名前を持っていました。このブログにココの最後の約半年間(2019年8月2日~2020年1月5日)の毎日の様子を記録しました。ココが旅立った後、ココの思い出とともに公園に今生きているものたちについて記録していきます。

ココ、あなたのことを祈っているよ

f:id:cocokai:20191206080344j:plain

杉の大橋の植物園側の中央あたり(7:13 am)

f:id:cocokai:20191206080445j:plain

ココが氷に閉じ込められた(朝)

f:id:cocokai:20191206080535j:plain

みるみる凍ってしまったのか?(朝)

f:id:cocokai:20191206080657j:plain

上がろうともがいても薄氷は割れてしまう(朝)

f:id:cocokai:20191206080930j:plain

植物園側も氷に覆われている(朝)

f:id:cocokai:20191206081027j:plain

ココがいないと石橋の餌場も凍ってしまう(朝)

いきなり冷え込んだ朝。最低気温マイナス6.7℃。たくさんの名前を持つ白鳥は杉の大橋の植物園側の中央辺りに閉じ込められている。今朝もパンをもらおうとして、未明にやってきて、途中で氷に阻まれたのかもしれない。杉の大橋の下の氷上にパンのかけらがたくさん落ちている。かけらの形状から推察すると、スーちゃんと呼ぶ人たちが氷が溶けたら食べてほしいと投げたのと思うが・・・。

ココは一生懸命にお尻を振りながら氷の上に上がろうとするが、薄氷は割れてしまう。体力の消耗が心配。

この状況を伝えるために公園の事務所に行った。若い警備員の人が対応した。念のため「あなたは何をしますか?」と聞いたところ、「何もできない」と非常に真面目に答えた。不思議に思い、ココは40歳近いことを伝えると、「知っています」と答えた。弘前市はココについてうやむやにしているため、公園で働いている人でさえ詳しいことを知らない場合が多い。

伺うと、その警備員さんは鳥が大好きで、弘前公園の鳥たちにとても詳しい人らしい。ココは本来日本に渡来しないコブハクチョウであり、コブハクチョウは長生きすること、飛べないように羽根が処理されていることを知っていた。「でも、自分は夜勤を終えて帰るため、何もできません」とのこと。本当は、夫や私と同様に、すぐそこにいるココを助けることができず、悔しいに違いない。自然の摂理を受け入れるしかないと受け止めて、悲しさを真面目な顔で隠しているように感じる。あるいは、職員に伝えたところで何かが起こるわけがないとあきらめているのか?この白鳥に名前をつけていますかと尋ねると、特に付けていないということだった。

帰ろうと管理事務所を出たとき、いつも春陽橋付近で出会う男性に遭遇した。この人は春陽橋からカルガモたちにやさしい眼差しを向けているという印象がある。ココにも関心を寄せているようだ。ココの状況を説明すると、「分かった。みんなに伝えるから」と言ってくれた。

f:id:cocokai:20191206111858j:plain

ココは閉じ込められたまま(10:43 am)

心配でまたココを見に行った。少し移動したようだが、依然として氷に閉じ込められている。事情を知らない観光客が氷に閉ざされた白鳥を見ながら「きれい」と喜んで写真を撮っていた。飛べると思っているのだから仕方がないが、せつない。

管理事務所に行って再度ココを助けてくれるようお願いした。話はまだ伝わっていないようだ。朝にお願いした人はきっと誰かに伝えたはず。でもそれが行動に移される前に忙しさに紛れて頓挫することはよくあることである。対応してくれた方は、「何ができるか考えます」と言ってくれた。

公園の責任者の方はいつもココのことを気に掛けているから、助けてくれると信じる。ココ、大丈夫だよ。必ず公園の人が助けてくれるから!

f:id:cocokai:20191206161809j:plain

たくさんのカラスが・・・(15:28)

f:id:cocokai:20191206162025j:plain

一生懸命・・・

f:id:cocokai:20191206162123j:plain

移動したけど・・・

f:id:cocokai:20191206162216j:plain

疲れたんだね(15:31)

午後、ココは頑張って移動したらしい。植物園側に近づいていた。岸辺から心配した人たちがパンをあげたようだ。カラスが残りを食べている。

公園の人たちにお願いしたけど、具体的な行動を起こさなかった。再び管理事務所に行って訴えた。彼らは決して無慈悲ではないことは分かっている。心が痛いだろうと想像できる。だた、助けるために必死にならないだけ。仕事に忙殺されて、高齢の白鳥1羽に関わっている暇はないと考えている。そして、これは緊急事態などではないと判断している。

その原因は、弘前市が白鳥が存在している経過をうやむやにしていることにあると感じる。だから白鳥に対して責任を持つ必要性を感じることなく、「多忙故に必要最小限のことしかできない」と言えるのだ。これまでも大丈夫だったし・・・と。

この高齢の白鳥は公園を訪れる人たちに元気と喜びをもたらしている大切な存在であること、つまり、公園の本来の役割を果たし続けてきた存在であることに、公園の人たちは気付きたくないのかもしれない。

あの、朝に出会った若い警備員の悲しいほど真面目な顔が浮かんでくる。その人の言葉のとおり、私たちは何もできない。

ココ、本当に申し訳ない。予報によると明日は気温が上がるから、それまで体力を維持して、石橋に戻ってね。石橋付近にいさえすれば、公園の人たちが氷を割ってくれる。餌ももらえる。悲しいけど、あなたの体力と気力に頼るしかない。本当にごめん。