ココの時間は豊かに流れる
写真を撮っていたら、通りかかった女性が「1羽で可哀想」と言っていた。私も最初はそう思った。でも、白鳥にはカモたちと一緒に朝食を取るという日常がある。水中にいるたくさんの鯉たちもおそらく朝食の仲間である。そして、仲間たちは中濠の主としての白鳥に敬意を払っているようである。40年近く生きてきたたくさんの名前を持つ白鳥は、最後の1羽になってしまったけれど、全く寂しくはないよね。だって、ココには豊かな時間が流れているもの。
午後、たくさんの名前を持つ白鳥は、久しぶりに植物園側の左側のお気に入りの場所で過ごしていた。濠の右側から遺構の復元工事の音がうるさく響いている。一日中、こんな調子だったのかな。本当に困るね。
私にはこの復元工事は単なる環境破壊にしか見えない。今からでも中止して、その財源を水環境の改善に回して欲しい。
白鳥たちが朝食と取っている場所から遠く離れたところに、カイツブリご一家がいた。写真では分かりづらいが、1羽の子供カイツブリが岸にくっついている。その右側からカルガモが顔を出し、水中の親カイツブリと何か話し合っているみたい。
午後、杉の大橋の植物園側にカイツブリご一家がいた。たくましく、愛情に満ちた父と母の元で、子供たちはみんな元気に育っている。一番小さい子が潜って約2メートル進んで顔を出した。これまでの最長記録だと思う。
水面に杉の大橋の朱色が映えている。